こうしたまとまりにくい条件のもとでも、岡田監督は代表選手たちに「Our Team」という意識を強く持ってほしいとあえて要求した。岡田監督はこの「Our Team」というチームコンセプトを説明する際に「村の祭り酒」という話を選手にした。
「ある村で、毎年、夏にお祭りをやっていた。祭りの始まりには、一升樽をぶち抜いてみんなで乾杯する。ところがある年のこと、飢餓がやってきてお祭りどころではなくなってしまった。こんな時こそお祭りをやって、気持ちを明るくしたいと思ったが、いかんせん景気づけの一升樽がない。
みんなが思案投げ首をしているところに、村の知恵者がこう言ったという。“みんなの家には、コップ1杯ぐらいの酒はまだあるだろう。それを持ち寄って、去年使った一升樽に入れて蓋をし直そうぜ。それをぶち抜いて乾杯すれば、祭りを始められるじゃないか”と。
この知恵者の提案にみんな賛同して家に帰り、各々コップ1杯の酒を持ち寄った。一升樽がいっぱいになったところで蓋をして、気合いを入れてぶち抜いた。めいめいコップに酒をつぎ、乾杯の音頭とともにぐいと飲んだその瞬間、どの人も怪訝な顔をしたという。さて何が起こったと思うか」
岡田監督は話を聴いている選手にこう問いかけた。
「まずかった」「臭かった」「薄かった」など、いろいろな答えが選手から返ってきたが、どれも正解ではない。答えは「水だった」。つまり、村人の誰もが「俺一人ぐらい水を持っていってもわかりはしまい」と考えた結果、一升樽は水でいっぱいになっていたのである。
「自分1人ぐらいはいいだろう」
この考えが組織を壊す。
W杯という大舞台で、とりたてて強力なストロングポイントを(世界基準で見ると)持たない日本が勝ち進んでいこうとすれば、チームの「団結力」は必要不可欠なのである。
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