"私が受験生だったときは、山崎貞著『新々英文解釈研究』(研究社)、原仙作著『英文標準問題精講』(旺文社)が英文解釈の参考書のバイブルであった。前作は形と意味の類似した構文や成句を一括して解釈した上で短い英文の演習問題に挑戦するものであった。それに対して、後者は構文や成句の項目を設けず、Bertrand Russellをはじめとする名文を素材に構文・文法・語義の説明を施すことで文章を鑑賞することを目指すものであった。そして、時を経て、これらの名著に決定的に欠けていた英語の体系を根底から問いかける伊藤和夫氏の著作群が現れる。氏は「英文解釈の公式と呼ばれる『英文解釈法』は熟語表現への過度の傾斜と日本語を媒介することへの無邪気な信頼である」と批判し、英語を形から考えることに注目した。基本的な約束事を明示し、英文構造を分析することで、英語を読む際の頭の働かせ方を解明したのである。これによって、英文を1文1文正確に読む方法論が確立されることになる。"

「英文精読へのアプローチ」 太庸吉