"

下部組織の指導を始めた頃は、私自身も結果を出すことにとらわれていたと正直に認めなければならない。しかし1年後、自分が間違っていたことに気づき、自分自身のため、そしてチームのために、もっと変化し、もっと別のものを求めなければならないと悟ったのだ。

根本は、少年たちを楽しませつつ、いいゲームをしたいという気持ちを彼らにうまく伝えることなのだ。これがうまくいったなら、今度はその少年たち自身が伝言ゲームのように友人たちにそれを伝え、友人は呼び寄せられ、自分の力を試し、チームとなり、その数をさらに増やしていくことになるだろう。

最初はボロボロに負けるだろうが、チームができてくれば、勝利をつかもうと本気で頑張るようになる。全員でハーモニーを「奏でる」、小さいながらも息のぴったり合った「オーケストラ」が生まれるからこそ、絶えず修正を加えながら進歩していくことができるのだ。やる気のある者たちに場所を提供し、長続きするように褒美を与え、失敗してもどっしり構えておくことは基本であり、ほとんど本質的なことなのである。

少年たちは誰一人、「ぼくらは勝たないといけないってアルベルトは言った」と言うことはない。今相手にしている大人の選手たちだってそうだ。その代わりに彼らはこう言うだろう。「ぼくらはもっといいプレーをしなくちゃいけないってアルベルトは言った」と。

ひょっとすると、これは素朴で、ある者たちにとっては陳腐にも思える哲学かもしれない。それでも、これが私の哲学なのだ。小さい場所にいたときからずっと心にとめ続け、もっと大きな場所に立った今でも「それを広めよう」としている。そんな、ある大人の哲学なのだ。

"

「ザッケローニの哲学」 アルベルト・ザッケローニ(著)、久保耕司(訳)