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雪山での自動車事故で足を負傷した人気小説家と彼を監禁した熱狂的なファンの中年女が駆け引きを繰り広げる『ミザリー』(一九九〇年・米)。キング原作映画の中では、これが僕のナンバー1です。
(中略)
『ミザリー』とはこの小説家の書くヒット作のタイトルですが、彼のファンを自称する中年女は最初、骨折した足を献身的かつ愛情たっぷりに看護しながら、足が治ったら小説家が出て行ってしまうだろうというので、一転してハンマーでまた足をへし折ってしまう。「そこまでやるか!」という驚愕の展開です。あれ以上イッてしまっている女性は、ホラー映画だけでなく全映画史上においても他に存在するとは思えません。
でも中年女にそこまでやらせるのがキングの人気小説家たるゆえんというか、読者が「次の展開はこうだろう」と予測できてしまうようでは作家としてダメです。「この作者は次に何をやるかわからない」という次元で読者を期待させたうえで見事にその期待に応えて驚かせ、その驚きを恐怖につなげていく。主人公に対しての、その凄まじいまでの容赦のなさ。観客にしても、主人公でさえ容赦なく扱われることがわかれば、「どうやって逃げるんだろう?」と本当に恐怖の底に突き落とされるわけです。その家に助けに来た老保安官も女にあっさり殺されてしまって、無駄死にというか、殺されるためだけに出てきたというのも凄惨すぎます。
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